Japanese
English
綜説
WPW症候群の周辺にあるもの
On the Mechanism of WPW Syndrome
佐野 豊美
1
Toyomi Sano
1
1東京医科歯科大学心臓血管病研究施設
1Institute for Cardiovascular Diseases, Tokyo Medical and Dental University
pp.488-496
発行日 1973年6月15日
Published Date 1973/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202495
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WPW症候群の病態生理に関しては,単なる一症候群に関する興味にとどまらず,その解明により重要な生体現象の一環を窺知しうる期待があり,昔から多くの研究家の興味を呼んで来た。その発生機序については,Scherf and Cohen1)によると60以上も説があるという。中でも副伝導路説(accessory bundle theory),異所性興奮説(theory of excitable center),促進伝導説(theory of accelerated conduction)はある時代において勢力があった点で有名である。異所性興奮説として代表的なHolzmann and Scherf2)は異常QRSを説明するために興奮中心をむしろ心室に考えており,PR時間短縮を説明するために洞結節興奮による心房収縮が,その機械作用によりこの興奮中心を刺激するとしている。しかし,心房細動を合併する本症候群の患者の説明は本説ではむずかしく,Sodi-Pallares and Calder3)は心房興奮による電気緊張の影響で心室の早期興奮が起こるというが,完全房室ブロックの際に心房興奮に伴って本型が見られるわけでないし,また本症候群でもPR時間の長いものもあるので,これらの説明には困る。
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