今月の主題 わかりやすい心電図の臨床
不整脈の治療
WPW症候群
伊東 祐信
1
,
衛藤 由香里
1
,
桑原 寛
1
1湯布院厚生年金病院
pp.1038-1040
発行日 1990年6月10日
Published Date 1990/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900259
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WPW症候群はすでに1930年Wolff, Parkinson, Whiteにより“健康な若年者において短いPR間隔を伴った脚ブロックで発作性心頻拍になりやすいもの”として11例について詳細に報告された1).すなわち,心臓の洞結節からの興奮が心房を通って心室へ伝わるさい,正常の房室結節-ヒス・プルキンエ伝導系のみの場合よりも早く心室の一部,または全部を興奮させるもの(心室早期興奮,ventricular pre-excitation)をいうが,典型的には心電図上次の4つの特徴がある.
1)P-R間隔の短縮
2)デルタ波の出現
3)異常QRS波(幅広い0.12秒以上のQRS波)
4)ST-T部の変化
このような心電図異常があるだけで頻拍性不整脈を伴わない場合には,単に“WPW心電図”と呼んで,“WPW症候群”と区別することもある2).
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