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修正大血管転換症は稀な奇形とされながらも,すでに欧米では200例をこえる症例が報告されている1)。本邦でも高尾2)による初の報告以来,すでに90例をこえる症例が報告されるに至った3)。本疾患は胎生期におけるbulbo-ventricular loopの回転異常とtruncoconal septumの螺旋回転欠如にもとづく大血管および心房室の転換をきたしたもの4)と考えられ,血行動態的には"修正"された状態にあるため,その臨床症状はほとんどその合併奇形に負うものとされている。最近10数年のめざましい心血管外科の進歩は数多くの先天性心疾患を治癒せしめるに至ったが,今後これら治験例の増加とともに,その予後はきわめて大きな問題としてclose upされてくるであろう。このような観点からすると,合併奇形をもたない修正大血管転換症(以後cor. TGA)は,増加しつつある完全大血管転換症に対するMustardの手術治験例や合併症をもつcor. TGAの治験例の予後を判定する上で,きわめて貴重な症例となりえよう。そこで,最近当研究所で経験した合併奇形のない2症例を呈示するとともに,過去の文献報告例をもとに本疾患の自然予後を中心に考察を加えたいと思う。
Corrected transposition of the great vessels without associated intracardiac anomalies is an extremely rare condition. In contrast, complete transposition of the great vessels is a common congenital defect, and recently becoming amen-able to corrective surgery. Correction of this anomaly using the Mustard procedure results in an anatomic situation that simulates that of cor-rected transposition.
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