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緒言
体外循環法が心臓手術に応用されて以来,その研究も多く,輝かしい業績は跡をたたない現状ではあるが,さらに複雑な疾患についても手術が要求されるようになると,ますます長時間の安全な体外循環が必要とされている。一方,体外循環の適否を判定するためには今まで行なわれている諸検査成績はもちろん,さらに細胞レベルにおいて円滑な代謝が行なわれていることを判定できる方法が必要となり,最近では,細胞代謝の生化学的検索法が論ぜられ,それに伴い微小循環系の循環動態も重要な問題の一つとして注目をあびるようになってきた。われわれは,体外循環中における犬の大網の微小循環動態を観察しているが,同時にこれらの所見を分析する目的で,種々の方法によりこれを記録できる装置を考案したので,ここに報告する。
動物臓器循環観察装置については,種々の報告があるが,顕微鏡下に観察しながらカラーフィルムによる写真撮影を行なったり,16mm映画撮影を行なって,その動態を動的に捉える為には,先ず明るい画像を得ることが必須条件である。したがってtransilluminating me—thodが,落射法に比しはるかに優れていることはいうまでもないが,それらの方法についてみると腸管膜の微小循環は,Thoma (1878)により始めて観察され,LoefflerおよびNordman (1925)は,ガラス棒を光誘導路としてマウス,家兎の肝の血液循環を観察し,Wear (1934)は石英棒を用いて猫の肺循環を観察した。またZweifach (1940)らはThomaの方法に改良を加え,ゲラチン・リンゲル液滴下の生理条件下で,カエルの舌下膜,ラットの虫垂間膜,兎の腸間膜,犬の大網,人の球結膜等を観察している。Knisely (1934, 36,38, 46, 49, 54)は,石英棒照明法fused quartz rod techniqueやultrapak (Leitz)を用いて,実質臓器の観察を行なった。我国でも中田らの装置や,土屋らの観察法が発表されている。われわれが考案した装置および観察方法は次にのべるようなものである。
Because cellular metabolism is adequately reflected in the microcirculation, attention to it is one of the best methods of determin-ing the efficiency of extracorporeal circula-tion.
In order to get an accurate picture of the state of the microcirculation, the subject under observation must be kept in as natural a condition as possible. To accomplish this, we have constructed a special type of perfu-sion chamber which we attached to the abdominal wall of dogs. The dogs'omentum was pulled through a small opening in the abdominal wall onto the stage of the micro-scope. To control and maintain temperature the chamber was perfused with Ringer's solution. The use of this device has enabled us to take color cinematographs and to make analyses by motion analyser and cds analy-ser.
Observation of the microcirculation during extracorporeal circulation under various con-ditions provided many patterns of microcir-culation, i. e., good flow, stasis, sludging, bleeding, plasma skimming, A-V fistula and embolus. We studied the relationship of these patterns with extracorporeal circula-tion.
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