Japanese
English
綜説
心筋の活動状態の力学
Dynamics of the Active State in the Cardiac Muscle
真島 英信
1
Hidenobu Mashima
1
1順天堂大学医学部第2生理学教室
12nd Department of Physiology, Juntendo University, School of Medicine
pp.756-764
発行日 1969年9月15日
Published Date 1969/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202064
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はじめに
心筋は骨格筋と同様な横紋構造をもっていて,収縮機序は筋フィラメントの滑走によるものと考えられ,両者の間に本質的な差はないと思われるのであるが,従来心筋の特性と考えられている性質は骨格筋とは著しく異なっている。その代表的なものは変力作用inotropic ac—tionであろう。たとえば拍動の頻度,温度,薬物,Ca++などにより活動電位に変化がなくても収縮力は増減するのである。その他Starlingの法則として知られている筋の長さの増大による陽性変力作用については,心筋の生理的な収縮時の筋長が最大張力を発生する長さより短い範囲にあることが明らかとなったので1),心筋に特有の変力作用とはいえないかもしれない。このような変力作用は一方において興奮収縮連関の脱連関ともみられるから,その方面からの研究が数多く行なわれた結果,膜の脱分極により筋内のCa++濃度が増大することが明らかとなり2),変力作用はCa++利用の変化として理解されるようになってきた。しかし地方において変力作用はあくまで力学的な変化であるから,力学的な面からの追求も不可欠のものと思われる。この二方面からする研究の結果は筋内のCa++濃度と真の収縮力ともいうべき活動状態active stateとの対応という形でようやく一つのものになろうとしている3)。本論文では主として力学的な面から活動状態の解明に焦点を合わせて述べてみたい。
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