Senior Course 生理2
心筋活動と心電図(1)
家本 武
1
1順大内科・循環器
pp.415
発行日 1971年4月15日
Published Date 1971/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917343
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1.心電波の発生機序
心筋の力学的活動すなわち心臓のポンプ作用と,心電図の変化とは必ずしも対応しない.個々の心筋線維の収縮に伴う膜電位の変化,すなわち100から200億にも及ぶ心筋細胞の電位の総和を体表面における電位分布として現わしたものが心電図である.
心筋細胞の非興奮時の電位を静止電位といい,細胞内の陽イオンが主としてK+からなり,細胞外に対して40倍もの濃度である(分極).これに対して細胞膜が興奮を起こすとイオンの膜透過性に変化が起こり,Na+の膜透過性が増す.K+とは反対にNa+その濃度が細胞内に比し外のほうが約10数倍にもなっているため,膜電位はNa+の平衡電位に近づこうとして,細胞内電位の急激な立ち上がりとなる(脱分極).この後少し遅れてK+の透過性が増し,膜電位は活動電位の頂点から急速にイオンの平衡電位へと,すなわち膜興奮がさめて静止電位へと移行する(再分極).
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