Japanese
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Bedside Teaching
気管支喘息
Asthma Bronchiale
小林 節雄
1
Setsuo Kobayashi
1
1群馬大学医学部第1内科学教室
11st Department of Internal Medicine, School of Medicine, Gunma University
pp.727-732
発行日 1969年8月15日
Published Date 1969/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202060
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はじめに
気管支喘息という疾患は,きわあて古くから知られたありふれた疾患である。しかしその治療法も,原因も,病態生理も未知の分野が大きく,しかも社会の近代化,工業化に伴う大気汚染は本症の重要性を益々高めつつある。そもそも気管支喘息とよばれる疾患は本邦でも,米国でも,専門家の間ですらその概念設定に意見が分れている。とくにアレルギー学者と胸部疾患学者との間の見解の差異は甚だしいようである。ここでは気管支喘息とは「繰り返えされる原則として可逆性の閉塞性呼吸障害をきたす疾患」と定義づけて話をすすめてみる。一般にこのような閉塞性障害を起こす原因として,気道痙攣,浮腫,粘稠な分泌物等があげられている。
従って気管支喘息を臨床的に論ずる場合,今起こっている閉塞性障害の除去と,その原因の解明,およびそれに応じた治療法とが最も重要な課題となってくる。
現在きわめて沢山の気管支拡張剤,皮質ステロイド剤等が臨床的に用いられ,通常の気管支喘息発作の治療は比較的容易になった。しかし,その反面これら対症薬の誤用によると考えられる喘息死の増加が,一方で重要な問題となつてきている。そこでまつ第一に喘息死,もしくはそれにつらなる重症発作の問題につき,症例をあげながら述べてみたい。
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