Japanese
English
臨床
曲り角に立つサイアザイド剤—その歩んできた道
Thiazides in a Transition Period
加藤 暎一
1
,
猿田 享男
1
Eiichi Kato
1
,
Takao Saruta
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.553-559
発行日 1966年7月15日
Published Date 1966/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201611
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はじめに
1919年,初めての本格的利尿剤としてCl再吸収抑制が主の水銀利尿剤の登場,1950年代当初のNaの再吸収抑制剤Acctazolamideの出現,そしてそれから数年を経た1957年のNa,Clをほほ等価に排泄するSaliure—ticaとしてのChlorothiazideの登場1)とを,利尿剤発展史上三つの大きなeventsとしてあげることが出来よう。確かに最初のThiazide剤Chlorothiazideが市販されたとき,もはや浮腫,あるいは高血圧の患者に減塩食の必要はなくなったとまで宣伝され,makerの株式は数ドルの急騰を演じたといわれる。事実,本剤の開発に直接,間接に注がれた費用は2億ドルに近いといわれる2)。それから8年,その構造を少しずつ変えながらHydrochlorothiazideから最近のCyclopenthia—zideまで10数種類に及ぶ同系薬剤が作られてきた。しかし,権威あるアメリカ医師会の薬剤委員会でも,次のごとく述べているように,力価はともかく,利尿効果,K喪失性を始めとした副作用の点で本質的に大差がないと考えてよい。
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