巻頭言
麻酔領域での酸素・炭酸ガスをめぐる問題
稲田 豊
1
1昭和大学医学部麻酔学教室
pp.275
発行日 1966年4月15日
Published Date 1966/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201574
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最近の人工心肺装置の発展は目覚ましいものではあるが,長期間に互って循環系や生体のhomeostasisを維持し得る段階には至っていない。しかし,個体の肺の機能が大体正常である限り,長期間呼吸のみを人工的に維持することは可能である。従来は,調節呼吸ないし人工呼吸を実施する際,炭酸ガスhomeostasisの維持に十分な換気は組織のoxygcnationの維持上十分で,動脈血Po2は正常ないしそれ以上に保たれるが,hyper—carbiaはhypoxiaを伴わないことがあるので,動脈血Pco2を410mmHg,肺胞気炭酸ガス濃度を5.6%に維持するように換気量—これを適正換気量という—を設定すべきであるとされてきた。その代表的なものはRad—ford nomogramであり,肺胞気Pco2を正常に保つために必要な一回換気量,呼吸数および体重の関係が示してあり,さらに発熱,麻酔などによる代謝活動の変動,高度,および死腔の変化に応じて矯正すべき較正値があげてある。実際の分時呼気量の測定にWright'anemometer,Dräger' volumeter,Bennett' venti—lation meter,肺胞気炭酸ガス濃度の測定にinfra-redCO2analyser,sonic gas anaiyser,動脈血Pco2の測定にSeveringhaus電極,がそれぞれ作られ,用いられている。
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