Japanese
English
綜説
肺高血圧症—その形態学
Morphological Pathology of Pulmonary Hypertension.
今井 三喜
1
Miki Imai
1
1東京女子医科大学第一病理学教室
1Department of Pathology, Tokyo Women's Medical College.
pp.92-98
発行日 1965年2月15日
Published Date 1965/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201410
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はじめに
肺高血圧症はまず「肺性心」として結核を中心とした慢性肺疾患の研究からすすめられ,後に心臓外科の発達に伴い心性高血圧の問題から研究が一段と進歩したのであるが,この間,心カテーテル法をはじめ各種の検査方法の発達や,大循環系高血圧症の解明等がまたこの研究の進歩に寄与するところが大きかった。この研究の歴史は多くの先人の文献に見られるところで著者もその恩恵に浴するところが多い。
著者は肺高血圧症の問題を解明することが心肺疾患のみならず循環系一般に共通した問題の理解に役立つものとして興味を持ってきた。生物の体制organisationの複雑化——各種臓器の発達——に伴って大循環系がその中に,それぞれ特色を持ったいわば臓器循環系を持つようになると,動脈,静脈,毛細管等とその名称は同じであっても循環系各部により性質が異なってきて,大循環系全般としての性格はつかみにくくなる。大循環系は左室と右房の間に多くのTeilkreisläufeを持っているわけである。これに対して小循環系はまた肺循環系ともいわれるように右室と左房の間のHauptschluβであり,構造が大循環系より,はるかに簡単である。この点で肺循環系は循環系の「原型」といえよう。
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