Japanese
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ジュニアコース
電解質(2)—酸塩基平衡障害,特に呼吸性アシドーシスと電解質代謝
Electrolyte Metabolism (2) :Electrolyte Metabolism in Respiratory Acidosis
伊達 俊夫
1
,
中島 亨
1
Toshio Date
1
,
Akira Nakajima
1
1慶応大学医学部笹本内科
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University.
pp.583-589
発行日 1964年8月15日
Published Date 1964/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201351
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はじめに
内部環境を一定に保つことが生命の維持と生体諸機能の保持に不可欠であることはいまさらくりかえすまでもない。内部環境の最も重要な因子は水と電解質であり,それらの分布を調節することによつて体液の滲透圧や水素イオン濃度などがごく狭い正常範囲に保たれると考えられている。それらの調節をおこなう器官として,腎,肺,赤血球および組織細胞などがあげられており,自律神経や各種ホルモンなどを介して体液の恒常性がたもたれ,生物の機能が円滑にいとなまれている。
ごく最近まで陰イオンを酸,陽イオンを塩基と呼びならしていた事実から考えても電解質の変化が酸塩基平衡ときりはなせない関係にあることがわかるが,今回は酸塩基平衡障害特に呼吸性アシドーシスの場合を中心に腎や細胞などにおける水と電解質のうごきを概説してみたい。呼吸性アシドーシスの問題は相当古くから論じられているが臨床的にとりあげられるようになつたのは血液のCO2分圧がわりあい簡単に測れるようになつてからのことであり,最近重症呼吸器疾患の死亡要因としてCO2ナルコーシスが注目されつつある1)2)ことからも呼吸性酸塩基平衡障害における電解質代謝を知ることは有意義であると思われる。
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