Japanese
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講座
動脈血流—Windkessel説を中心にとして
Arterial Blood Flow.:With reference to Windkessel theory.
中山 淑
1
,
斎藤 正男
1
,
金井 寛
2
,
清原 廸夫
3
Kiyoshi Nakayama
1
,
Masao Saito
1
,
Hiroshi Kanai
2
,
Michio Kiyohara
3
1東京大学工学部
2上智大学理工学部
3東京大学医学部麻酔科
1School of Engineering, University of Tokyo.
2School of Engineering, Jochi University.
3Dept. of Anesthesiology, School of Medicine, University of Tokyo.
pp.477-483
発行日 1964年7月15日
Published Date 1964/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201336
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はじめに
循環器系を力学的に解析するという仕事は,古くからなされており,その一つの大きな結実が,Windkessel説であるといえよう。Weberによつてその思想が示され,O. Frankにより数学的基礎を得たこの理論は,Broemser,Ranke,Wez—ler,Boger等により一応臨床に応用できる形に完成され,尨大なデータがとられ計算が行なわれた。しかし周知のようにWindkessel説は複雑な物理系である動脈系を余りに簡単な第1図或いは策2図のようなモデルでおきかえているために当時の測定技術の貧弱さと相まつて大きな臨床的成果をあげるには至らなかつたといえよう。彼等が非常に簡単なモデルを考えた理由はいろいろあろうが,先ず当時の測定技術の貧弱さがあげられる。複雑なモデルを考えたにしても,モデル中の要素の定数を定めるに十分なデータを得ることは恐らくできなかつたに違いない。現在でもなお循環力学解析に有意なデータを手軽に得ることは甚だ困難であり,これが循環力学の進歩を大きくはばんでいることは否めない。しかしカテーテル技術,血圧計,血流量計,脈波計等の進歩によつて,生理学上の実験に於ては勿論,臨床面に於てさえ生体から得られる情報が格段に増えていることは確かであるからもう少し複雑なモデルを考えて解析することが許されるのではなかろうか。
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