Japanese
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診療指針
リウマチ性心疾患の管理
The Management of Patients in Rheumatic Heart Disease
土肥 豊
1
Yutaka Dohi
1
1東京大学医学部物療内科
1Dept. of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Univ. of Tokyo.
pp.277-285
発行日 1963年4月15日
Published Date 1963/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201198
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I.はじめに
近年,心臓外科の進歩はめざましく,従来根本的には治療の不可能とされていたリウマチ性心疾患に由来する弁膜障害に於ても,少なくともその一部は外科的処置によつて,かなりの改善が期待され得るに至つたが,その適応については尚かなりの制限があり,尚,その原因となるリウマチ熱の発症より二次的弁膜障害に至る経過,その原因となる溶連菌感染の問題,慢性増悪,再発,再燃などの問題,夏には又欝血性心不全の問題等本症の管理に関しては多くの課題が残されている。しかも本症は大多数の統計にみられる如く20才代若しくはそれ以前の少年期に多発し,患者は生涯の長い期間を後遺症としての弁膜症を有しながら過さねばならないという運命にあり,慢性関節リウマチ気管支喘息等と共に最も長い慢画性疾患の一つと考えられ,この意味で単に急性期の治療にとどまらず,長期にわたる管理の必要性が存在するわけである。にもかかわらず,本症に於ても,他の内科的慢性疾患における場合と同様,管理という問題は従来とかく等閑にされがちであり,はなばなしい急性期の治療を終えた後は,医師も患者も共に病気のことを忘れ,自然のままに放任されるのが普通であつた。近年に至り所謂成人病の管理という問題がやかましく論ぜられるにつれて,一般に内科的慢性疾患における管理の重要性が認識されるに至り,本症についても広く予防的意味を含めての管理に対する関心が高まつてきたことは甚だ喜ぶべきことと思われる。
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