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文献抄録
肺栓塞とセロトニン—Stone, H.H. & Nemir, P. Jr. Ann. Surg,150(5):890-900, Nov.1960./心機能制約性の疾患—Reich, N. E. Angjelogy 11(511) :387-397, Nov.1960
Study of the role of 5-hydroxytryptaneine and histamine in the pathogenesis of pulmonary embolism in man/Restrictive heart disease:diagnosis and treatment
渋沢 喜守雄
pp.241,291
発行日 1961年4月15日
Published Date 1961/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200969
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肺療患者で開胸前に心カテ法で罹患肺動脈にヒスタミン(燐酸塩0.6mg,5例),セロトニン(クレアチニン燐酸8—1000mg,3例)を注入し,カテでその動脈を閉塞した。ふつうに見る肺栓塞様の変化は取り出した肺にみとめられなかつた。しかし悪性カルチノイド患者の所見ではセロトニンが肺動脈・気管に直接作用して肺栓塞と一致する変化をおこしうる。おそらくセロトニンに対する反応性には著しい個体差があるのであろう。ヒスタミンは関係あるまい。さてイヌに径25—100μの小球を肺動脈注射すると交感神経を介する肺動脈収縮・肺高血圧反射がおこる。他方セロトニンをネコ肺動脈に注入すると血圧低下・気管支収縮などを呈する肺減圧化学反射がおこる。これは迷走神経性である。もつともセロトニンが直接肺動脈・気管支に作用するとも考えられる。それで以上二個の反射は肺栓塞成立に重要な役割をもつと思われる。セロトニン反射はある種の動物には著明だが,他種動物ではあらわれぬこともあつて,反射より直接作用の方が大切とも考えられる。人体実験でセロトニンで肺栓塞様の症状が出なかつたら,使用量を変え,広汎な実験によつて更に確かめるべきであろう。セロトニンが肺栓塞症状に重要だとすればカルチノイドでは当然肺栓塞に一致する変化があつて然るべきである。
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