Japanese
English
診療指針
末梢血管疾患の治療
Treatment of Peripheral Vascular Disease.
石川 浩一
1
Koichi ISHIKAWA
1
1東京大学医学部清水外科
1Department of Shimizu's Surgery, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.288-297
発行日 1954年9月15日
Published Date 1954/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200172
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末梢血管疾患と動脈血行障害
末梢血管疾患の中,日常最も多く経験され,かつその対策に苦しむものは,動脈血行障害を主徴とする場合であろう。このような疾患としては,Raynaud氏病・先端紫藍症・動脈血栓症・動脈塞栓症・閉塞性動脈硬化症・Buerger氏病(自発性脱疽)等があげられる。今これら疾患の治療法について考察してみよう。
これらの疾患における動脈血行障害を分析すると.小動脈毛細血管の痙攣状態Vasospasm,動脈壁の肥厚による内腔狭窄,血栓による動脈内腔の閉塞の3因によると考えうる。もちろん,Ra—ynaud氏病では小動脈毛細血管の痙攣が障害の主因であり,動脈硬化症・Buerger氏病・動脈血栓症等では壁の肥厚と内腔閉塞が主因となつているがRaynaud氏病にも次第に小動脈の狭窄閉塞がおこり,動脈硬化症やBuerger氏病の罹患部附近にも血管痙攣が伴うものであつて(Seifert 1931)1)日常遭遇する末梢血管疾患患者では,上記の3因が種々の割合に組合つているものである。従つて,その対策としては,血管痙攣に対するものと,血管の狭窄閉塞に対するものとが考えられる。
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