Japanese
English
文献抄録
心不全時の電解質変化Ⅰ.細胞因子Ⅱ.細胞外因子,他
Electrobyte Studies in heart failure Ⅰ.Cellular factors in the pathogenesis of the edema of congestive heart failure. Ⅱ. Extracellular factors in the pathogenesis of congestive edema.
pp.603
発行日 1955年10月15日
Published Date 1955/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200288
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
心不全の時の細胞の電解質代謝の異常は,細胞内陽イオン脱出と水の浸入であり之は細胞内塩基の活性化と滲透圧増加によるらしく,それに伴つて細胞外液が高張になつてくる。こゝでは三角筋のバイオプシーを行い,水分量,Na,Ka,Clを測り,同時に血漿についても調べて,心不全時とその恢復時の変化を調べた。細胞内カリウム濃度は116mEg/l (心不全時)から151mEq/l,細胞内液は49.1%から55.0%(組織の重さに対して),細胞外液は29.1%から20.9%になったが,クロール含量は8例減少,2例上昇という結果となつた。Ka濃度の差が大きく出るのは幾分は恢復期に筋脂肪が増すのにその補正をしなかつた為もある。組織全水分量は不全時に増しており,細胞内液は減つている。しかし心不全時も恢復時も組織内の細胞数を調べることができないのではつきりしたことは判らないが,細胞内水分は実は増していると考えうる。こうして心不全の時,細胞内塩基の活性化によりKaが細胞から引き出され,水が引き込まれ,滲透圧は上つている。この時の細胞外液の状態を調べるために,血漿Na,Ka,Cl,Co2を測り,之にNaと運動とを負荷してその動きを調べた。その結果,恢復期には血漿Na濃度は変らないが,心不全の時は負荷により,4.7〜5.7mEq/l増すことがわかつた。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.