Japanese
English
卷頭言
全末梢脈管抵抗について
Total Peripheral Vascular Resistance.
斎藤 十六
1
Saitoh Soroku
1
1千葉大学第2内科
1The 2nd Clinic of Internal Med. Chiba Univ. School of Med.
pp.337
発行日 1955年6月15日
Published Date 1955/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200243
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- Abstract 文献概要
今年の循環器病学会には末梢抵抗の問題がいくつか採り上げられた。方法論的にも,成績そのものについても討議された。わたくしは,傍聴している時頭に浮んだ偶感ともいうべきことを述べる。
代償性をもつ本態性高血圧症において,心送血量と全血量が,まず,不変であるとするなら,全末梢抵抗は増加するはずである。粘度は赤血球増加症のある場合を除外すれば,変化しないこと,および,末梢抵抗を高める個所は動脈でなく,細小動脈が原発的な部位であることがわかつている。末梢抵抗がふえる問題にはいる前に,末梢循環の特徴について2,3を述べる。末梢循環は本質的には一群の並列回路で,いろいろの器官が並列的に循環回路を作るだけではなく,個々の器官や組織のうちにある循環回路も,また並列的である。現在,ふつうにおこなわれている器官内の血流測定法は,その器官の個々の部分における血流を,かならずしも測つているわけではない。平均された血流を測つて血流が不変であつても,このことから,かならずしも,その器官のあらゆる部分における血流が不変であるとはいえない。ある部分では増しているかも知れず,他の部分では減つているかも知れない。わたくしは,器官内の循環回路が並列的であるという概念—わかり切つている—を強調したく思う。
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