Japanese
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診療指針
心臟性喘息
Cardiac asthma
大鈴 弘文
1
Hirobumi OSUZU
1
1Medical clinic of Tokyo Metropolitan Police Hospital
pp.223-228
発行日 1953年9月15日
Published Date 1953/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200111
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1.症候群心(臟)性喘息
心性喘息は發作性呼吸困難を主とする心不全の一症候群であつて,自覺症を多分に加味した古典的症候群でもあり,病名でもあるだけに限界も内容も多種多樣で,明かに定義し難いことは狹心症乃至心臓神經症によく似ている。
心不全に伴う異常呼吸としては主として僧帽瓣症に多い持續的呼吸困難,勞作後の呼吸促迫以外に,勞作と關係なく夜間發作性におこる呼氣性呼吸困難があり,その重症なものを心性喘息としているのである。種々の型の異常呼吸又は呼吸困難が同一患者に時を異にし又は同時に發生することも心性喘息の概念を混亂させる基になつている。心性喘息とみられるもののうちには,心不全と氣管支喘息との合併もあり得る。古くはかゝるものを心性喘息と云ひ,少くとも心性喘息の發生機轉のうちに氣管支喘息のことが同時に考慮された。現今では一應此の兩者を別に取扱つているが教科書の示すように症状及治療上兩種の喘息をわりきつて別扱いにするには例外が多過ぎるように思われる。實地臨床上心性及氣管支喘息の鑑別診斷の甚しく困難なことは,心性喘息多樣性の一要因であろう。
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