文献抄録
胸部手術中における呼吸性アチドーヂスに就て(下腹位)
伊賀 六一
1
1慶大内科
pp.291-292
発行日 1953年11月15日
Published Date 1953/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200122
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胸部手術中に呼吸性アチドーヂスを招來することは,既に1938年Crafoordによつて發表され,他の多くの同樣の研究者達もあるが,その機序に就ては意見の一致をみなかつた。TaylorとRossはエーテルの呼吸中樞に對する影響が,肺胞換氣の障害を招くことを報告したがGibbon等は,その肺胞換氣の不良が呼吸性のアチドーヂスを來たし,しかもその換氣の不良は(手術時の患者の)姿勢ではなく,開胸によるものであるとした。然しBecher等は,下腹位か,仰臥位がCO2の排泄に最も有効であり,術中の血液中のCO2蓄積は,患者の姿勢に關係があるとした。此の論文は,術中のCO2排泄に對する下腹位の影響をみるため,術前の基礎麻酔,エーテル麻酔の深さ,姿勢の變向,開胸,肺切除等の種々のことに就て詳しく分析研究された。
術前の基礎麻酔,エーテル麻酔の2時間前に,0.1gのPentobarbital sodium,更に1時間後,Morphin sulfate (6〜10mg),或いはDemerol (25〜100mg)とScopolamine 0.6mg。
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