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綜説
高齢者における気管支鏡検査の注意点
Precautions against the Complications of Bronchofiberscopy in the Elderly
芳賀 高浩
1
,
巽 浩一郎
1
Takahiro Haga
1
,
Koichiro Tatsumi
1
1千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学
1Department of Respirology, Graduate School of Medicine, Chiba University
pp.1075-1080
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200034
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はじめに
65歳以上の高齢者が総人口に占める割合(高齢化率)は2010年に23%を突破し,本邦は超高齢化社会に突入した1).また,超高齢化社会の真の問題は高齢化率の上昇ではなく,75歳以降の後期高齢者の増加であると考えられている.団塊の世代が65歳を超える2015年以降,65〜74歳の前期高齢者の人口はほとんど変化せず,後期高齢者は増え続ける.高齢化のピークとされる2050年には高齢化率は40%,後期高齢者は総人口の25%になると予想されている1).つまり今後需要が増加する高齢者医療の対象とは,比較的生産年齢に近い前期高齢者ではなく,多くの疾患と愁訴を抱え,要介護者の割合が増える後期高齢者と想定される.
このような多くの疾患と愁訴を抱えた高齢者の増加に伴い,高齢者を対象として気管支鏡検査を施行することが多くなっている.最近では機器や術者の技術の進歩により,気管支鏡検査は以前よりも安全に施行されていると考えられる.しかしそれでも,高齢者には負担になっているのが現状である.高齢者では加齢による臓器機能,およびその予備機能の低下,ならびに組織の脆弱性,さらには適応力の低下があるために,思わぬ偶発症を生じることがある.また,心血管系,中枢神経系,呼吸器系などに基礎疾患を有する場合が多く,検査をきっかけに原疾患を悪化させることもある.気管支鏡操作による直接的な負担に加えて,絶食,検査後の入院などのリスクも存在することを理解すべきである.本稿では高齢者の気管支鏡検査における注意点を述べる.
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