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特集 CABGを科学する
橈骨動脈グラフトの正しい使用法について
Right Use of Radial Artry Graft
小宮 達彦
1
Tatsuhiko Komiya
1
1倉敷中央病院心臓血管外科
1Department of Cardiovascular Surgery, Kurashiki Central Hospital
pp.1027-1032
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200026
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はじめに
冠状動脈バイパス術(CABG)は,外科的血行再建法として確立しているが,経皮的カテーテル治療(PCI)との競合が厳しく,長期開存に優れた動脈グラフトを複数本用いることを考慮する必要がある.内胸動脈(ITA)の有用性は既に明らかであるが,第2,第3のグラフトとしての橈骨動脈(RA)の評価はまだ定まっていない.ITA,右胃大網動脈(GEA)は有茎(in-situ)グラフトとして用いることができるが,RAは大伏在静脈(SV)と同様に,free graftとして中枢吻合が必要となる.脳梗塞予防を考えて,上行大動脈へ遮断鉗子を置かない,いわゆるnon touch法を推奨する外科医もいる.RAを用いてnon touch法を行うためには,ITAなどのグラフトへのcomposite graftを作成しなければならない.また,RAはGEAと同様に血流競合によるstring signが発生しやすく,また術後造影時にspasmsを認めることもあり,信頼性に欠けると考えて,使用しない外科医もいる.このような様々な問題を有するグラフトであるが,動脈グラフトとしての特性を十分考慮して用いれば,長期開存に優れたグラフトになりうる.
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