巻頭言
心不全治療—全身臓器を見据えた包括的治療
福本 義弘
1
1久留米大学医学部内科学講座心臓・血管内科部門
pp.1015
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200023
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思い返すと,1991年初期研修医1年目の私は,最初の半年を九州大学病院第2内科で,その後の半年を第3内科で研修を受けた.今と違い,卒業後すぐに入局する時代であり,私は九州大学循環器内科に入局してからの内科研修であった.学生時代,勉強は決して熱心でなかった私が,初期研修で患者さんを目の前にし,勉強不足,知識不足では済まされない現実を目の当たりにし,それまでの私とは一変,日々の研修を心底熱心に受けたことを思い出す.
その頃から,循環器疾患には他臓器機能が大きく関与しているように感じていた.多くの知識がない当時だからこその「もしかして……」である.研修先の第2内科で腎不全患者を受け持ち,その治療にあたった.担当患者さんは腹膜透析を行っていた.ベットサイドで瓶を並べて回路を組む当時の腹膜透析のスタイルは,今からは想像もつかない様相である.その後,透析のスタイルは目覚ましく進歩し,患者さんの負担も軽減した.あれから4半世紀,今では「心腎貧血関連」という言葉があるほど,心機能との密接な関係性が明らかになりつつある.
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