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特集 環境因子と呼吸器疾患
環境因子とCOPD:非喫煙者COPDを中心に
COPD in Non-smokers
浅野 浩一郎
1
Koichiro Asano
1
1東海大学医学部内科学系呼吸器内科学
1Division of Pulmonary Medicine, Department of Medicine, Tokai University School of Medicine
pp.947-950
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200011
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喫煙とCOPD発症
COPD診断と治療のためのガイドライン第4版(日本呼吸器学会)に,COPDは「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患である」と明確に記載されているように,喫煙がCOPD発症における最も重要な外的(環境)因子である.事実,累積喫煙量と呼吸機能の低下は良く相関する.ただし,喫煙量が増えるのに従って直線的に呼吸機能が低下するのではなく,喫煙量と一秒量の低下は非線形関係にある1).また,呼吸機能の低下の程度には大きな個体差があり,例えばα1アンチトリプシン欠損症や若年性COPDの家族歴を持つ集団では少ない喫煙量での一秒量低下が大きいことが報告されている1).
一方で日本人男性の喫煙率は,昭和40年には80%,平成元年には60%,現在では30%程度と年々減少している.一方で女性の喫煙率はこの間でほとんど変化がなく,10〜15%を推移している.またタバコの性状も変わってきており,フィルターなしからフィルター付きのものへ,さらには最近では電子タバコも使用されるようになっている.このような喫煙習慣の変化を考えると,今後は経時的に喫煙によるCOPD患者数は減少すると同時に,相対的に現在の欧米同様に女性のCOPD患者が増加すると考えられる.
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