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はじめに
サルコイドーシスは全身性の炎症性疾患であり,非乾酪性炎症性肉芽腫の形成を特徴とする.
核医学検査は組織の炎症所見を非侵襲的に画像化することが可能であり,サルコイドーシスの診断および病態評価として臨床応用されてきた.非特異的な炎症シンチグラフィである67Gaシンチでは活動性のある炎症病変の検出が可能であるが,空間分解能が低いため,小さな病変や心筋局所へのアイソトープ集積の診断は困難である.これに対してポジトロン断層撮像法(PET)は空間分解能が高く,かつ近年普及してきたPET/CTによる融合画像は解剖学的情報と生理学的な画像情報をあわせて評価することが可能であり感度高く病変の検出が可能である.サルコイドーシスの診断・臨床評価には近年18F Fluorodeoxyglucose(18F FDG)が用いられてきている.FDGの組織への集積は白血球,リンパ球,マクロファージなどの炎症細胞の浸潤を反映するため組織の炎症マーカーとなりうる.
サルコイドーシスは一般に予後良好であるが,心病変を合併する場合は予後不良となる.一般に心病変の合併は5%程度と言われているが,日本では心病変の合併例が北米より多いことが知られている.そのため,わが国ではこれまで心病変合併のサルコイドーシスにつき診断・治療に力が注がれてきた.なかでも18F FDG PETによる心病変の検出はわが国を中心として発展してきた.近年では若年から中年にかけて原因不明の心不全,不整脈および伝導障害を示す患者の原因疾患としてサルコイドーシスが一定の割合で存在していることが明らかになり,欧米を含め18F FDG PETを含めた画像診断による心サルコイドーシスの診断に大きな関心が寄せられている.本稿では核医学検査法による心サルコイドシースの病態評価および治療効果評価の現状,課題について概説する.
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