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Current Opinion
心臓サルコイドーシスの現状
Recent Topics in Cardiac Sarcoidosis
手塚 大介
1,2
,
磯部 光章
3
Daisuke Tezuka
1,2
,
Mitsuaki Isobe
3
1東京医科歯科大学医学部附属病院循環器内科
2東京大学大学院先端臨床医学開発講座
3東京医科歯科大学循環制御内科学
1Department of Cardiovascular Medicine, Medical Hospital of Tokyo Medical and Dental University
3Department of Cardiovascular Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.681-686
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102265
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最新の病因論,診断基準,治療をめぐる諸問題について
[1] はじめに
サルコイドーシスは全身性に生じる肉芽腫性疾患で,病理像では炎症細胞の浸潤と非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が特徴である1).この非乾酪性肉芽腫が形成する原因について諸説みられるが,最近,病理学診断による研究からPropionibacterium acnes(P. acne菌)説が注目されている.
診断ガイドラインとして,2006年に策定された日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会による診断基準1)と,厚生労働省の特定疾患の呼吸器系疾患調査研究班(びまん性肺疾患)の策定した認定基準2)とある.非乾酪性肉芽腫を組織学的に確認することが診断の基本となっているが,心臓サルコイドーシス(以下,「心サ症」)においては心筋生検の感度は20~30%と低く,診断に苦慮するケースが少なからず存在する3).
心サ症を発症すると完全房室ブロックや心室頻拍の出現により患者の予後に大きく影響する.通常ステロイド治療が行われるほか,特に不安定な持続性心室頻拍に対しては二次予防として植え込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator;ICD)が標準治療である.しかし心サ症では一次予防としてICDのエビデンスは確立されていない.
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