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はじめに
特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias;IIPs)は,厚生労働省特定疾患治療研究事業の対象疾患であり,診断基準,認定基準が定められ,疫学調査,臨床研究が続けられ,重症度3度以上の患者には医療費の助成が行われている.医療費受給者証交付件数は増加し,2011年には5,896名のIIPs患者が医療費の受給を受けていた.患者は人口10万人当たり20人程度と推定されているが,自覚症状のない軽症の患者数はさらに10倍程度存在することが推定されている1).予後を改善する治療法のない疾患が含まれ,今後早急な対策が必要とされる疾患(群)である.
わが国では,現在IIPs診断基準第4次改訂が,最新の診断基準である.そのなかで,IIPsは,「原因不明の間質性肺炎の総称であり,IIPsの確定診断には,膠原病や薬剤起因性など原因の明らかな間質性肺炎や他のびまん性肺陰影を呈する疾患を除外することが肝要」と記述されている1).2002年に発表されたアメリカ胸部疾患学会(ATS)/ヨーロッパ呼吸器学会(ERS)による国際コンセンサス分類では,IIPsは,「一つの臨床病理画像疾患群であり,それぞれの疾患は独立した疾患として異なっている.また,一つのグループとして他のびまん性肺疾患とは臨床的方法(病歴,理学所見,胸部画像,臨床検査,病理)で区別することができる」と説明されている2).
2011年,「特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)の国際ガイドライン」,わが国から,「IIPs診断と治療の手引き(改訂第2版)」が改訂発行された1,3).本稿では,IIPsについて,分類と診断を巡る内外の経緯を概説し,「IIPs診断と治療の手引き」改訂第2版で新しく改訂された内容を中心に,周辺を含めて概説する1).
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