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綜説
脳血管障害を意識したPCI治療ステント選択について
PCI Treatment(stent selection)considering the Cerebrovascular Disease
芦田 和博
1
Kazuhiro Ashida
1
1横浜新都市脳神経外科病院循環器内科
1Department of Cardiology, Yokohama Shintoshi Neurosurgical Hospital
pp.52-61
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102135
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はじめに
1977年にGrüntzigらが経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行して以来,虚血性心疾患に対する冠動脈インターベンションは飛躍的に進歩してきた.本邦においても1981年のバルーン形成術(POBA)に始まり,1993年のPalmatz-Schatzステント導入から種々のbare metal stent(BMS),そして2004年には薬剤溶出性ステント(DES)が使用されるようになり,劇的に再狭窄・再血行再建が減少し,PCIの適応は拡大している.しかし,一方で遅発性血栓症という新しい問題も指摘され,BMSと比較して長期の抗血小板薬2剤併用が推奨されている.
一方,本邦には虚血性心疾患患者よりも多くの脳梗塞患者が存在し,彼らがPCI治療を受ける機会も多くなってきている.脳ドックで特に50歳以上では無症候性の脳梗塞が10%以上に見つかることからも,潜在的に脳梗塞を有している患者が虚血性心疾患を合併してPCIを受けることも多い.さらに,アジア人が他民族と比べて脳出血を起こしやすいことに加え,脳梗塞患者に抗血小板薬2剤併用を長期に継続することは脳出血のriskが高いことが報告されており,PCI治療を施行する場合にはその後の脳出血のリスクを考慮したPCI戦略・ステント選択が必要と思われる.
以上を踏まえ,本稿では脳血管障害を意識したDESの選択,PCI治療について概説する.
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