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Current Opinion
たこつぼ型心筋症―疾患背景と発症機序
Current Topics of Takotsubo Cardiomyopathy:Clinical background and underlying mechanisms
明石 嘉浩
1
Yoshihiro Akashi
1
1聖マリアンナ医科大学循環器内科
1Division of Cardiology, Department of Internal Medicine, St. Marianna University School of Medicine
pp.111-117
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100229
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たこつぼ型心筋症をめぐる最近1年間の話題
1 日本から世界へ
たこつぼ型心筋症が本邦で臨床的に認識されるようになったのは1990年に広島の佐藤らが“ツボ型左室壁運動障害”を報告したのが始まりである.それ以来,名前の独創性もあり,日本を中心に注目されてきた1).この疾患は,心身ストレスを受けた閉経後女性に好発し,突然の胸痛発作や呼吸困難,心電図変化,心臓壁運動異常など,急性心筋梗塞と極めて類似した発症形態でありながら,冠動脈に有意狭窄を持たずに左室収縮不全を来すことが特徴である.本疾患が一躍脚光を浴びたのは,2004年10月23日の新潟中越地震後に被災地近郊での患者数が急増したことにある2).発症する様式や状況が多岐にわたるため,循環器領域外からの報告も散見され,改めて本疾患概念が浸透していることを感じられた.しかし,統一された疾患名は未だなく,過去の報告からは“たこつぼ心筋障害”,“タコツボ心筋症”“つぼ型心筋症”,英語表記では同様の病態を,“takotsubo cardiomyopathy”,“tako-tsubo cardiomyopathy or syndrome”,“transient left ventricular apical ballooning”,“ampulla cardiomyopathy”,“broken heart”,“stress cardiomyopathy”などと記している.2001年以降,海外からの報告も増加し,日本古来の“たこつぼ”の名は,一躍世界へ羽ばたいたといえる.
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