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特集 大震災と循環器・呼吸器疾患
大震災と下肢深部静脈血栓症・肺塞栓症
Earthquake and Venous Thrombo-embolism
榛沢 和彦
1,2
Kazuhiko Hanzawa
1,2
1新潟大学医歯学総合病院心臓血管外科
2新潟大学災害・復興科学研究所
1Cardio Vascular Surgery, Niigata University Medical & Dental Hospital
pp.897-901
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102040
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はじめに
震災後において下肢深部静脈血栓症(DVT)および肺塞栓症の発生増加が判明したのは2004年10月23日に発生した新潟県中越地震(以下中越地震)である.中越地震では余震が多かったこと,避難所が不足していたこと,ライフラインが途絶したこと,また寒い時期でもあったことなどから明かりや暖を求めて多くの被災者が平置きされている乗用車に「とりあえず」避難した.一時的な車中避難は中越地震被災者の半数近いのではないかと言われている.またライフラインの途絶が長時間続いたため,倒壊した自宅には入れないが離れられない被災者の多くが連日の車中泊避難を行った.こうした車中泊を続けるうちに肺塞栓症いわゆるエコノミークラス症候群で死亡者が出た.筆者らがカルテなどで把握している震災後1カ月以内の肺塞栓症は7人で死亡者は4人であるが(表1),震災後に原因不明の死亡が少なくなかったことからもっと多かったのではないかと考えられている.
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