巻頭言
呼吸生理学と呼吸器内視鏡学の交差点に立つ
宮澤 輝臣
1
1聖マリアンナ医科大学内科学(呼吸器・感染症内科)
pp.233
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101912
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まず,はじめになぜ肺機能測定用気管支鏡(Functional Bronchoscopy)に興味を持ち,どのように臨床応用しようとしているかを書きたいと思う.私は呼吸生理学全盛の時代に卒業し,広島大学第二内科・肺機能グループに所属し,そこで呼吸器内科医としての教育を受けた.ゆえに呼吸生理学は呼吸器疾患の症候・病態解明にこれほど役立つものはないと考えていた.しかし,急増する肺癌には気管支鏡での組織生検による病理診断が欠かせず,診断だけでなく治療にも有用であった.以後,肺癌に対して気管支鏡を武器として診療していたが,ある日Functional Bronchoscopyのアイディアが頭に浮かんできた.若き日に習ったすばらしい学問,呼吸生理学にこだわる自分を発見した.
多くの方にはFunctional Bronchoscopyは聞き慣れない言葉と思うが,最近注目されているFunctional Imagingと同様の発想である.また,循環器領域での「冠動脈インターベンション」などと同様に呼吸器領域でもこの10年間に「呼吸器インターベンション」が注目されてきた.最近では内視鏡を使用した呼吸器疾患の治療のすべて,つまり肺癌による気道狭窄のステント,レーザー治療,COPDの気管支バルブなどによる肺容量減少術や気管支喘息の気管支平滑筋肥厚に対するラジオ波熱形成術があり,胸腔鏡的手技も含めて「呼吸器インターベンション」と呼ばれている.
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