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はじめに
わが国では,厚生労働省による「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用のあり方検討会報告書」1)を踏まえて,2004年7月1日付けで厚生労働省医政局長から「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について(医政発第0701001号)」が各都道府県知事に通知されたことがAED普及のきっかけとなった.この通知で,救命の現場に居合わせた一般市民がAEDを用いることには,一般的に反復継続性が認められず,免許を有さないものによる医業を禁じた医師法第17条違反にはならないものと考えられることが示されたことにより,わが国においてもAEDの設置が事実上解禁され,現在に至るまで急速に増加することになった.市民によるAEDの使用状況については,総務省消防庁救急企画室から公開された「救急蘇生統計(2008)」2)および「平成21年救急・救助の概要(速報)」3)などで明らかにされているが,AEDの設置状況については公開されている情報が十分でなく,不明な点も多い.
本稿では,上記に加えて2008年度厚生労働科学研究報告書「自動体外式除細動器(AED)を用いた心疾患の救命率向上のための体制の構築に関する研究(主任研究者 丸川征四郎)」,平成21年度厚生労働科学研究報告書「循環器疾患等の救命率向上に資する効果的な救急蘇生法の普及啓発に関する研究(主任研究者 丸川征四郎)」,日本救急医療財団によるAED設置場所検索システムの取り組み,および東京都メディカルコントロール協議会がEmergency Cardiovascular Care Update 2008(2008.6.13-15, Las Vegas)4)で発表した東京消防庁調査による報告をもとに,わが国におけるAEDの設置状況を概観し,今後勧められる設置場所について提案する.
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