Japanese
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特集 AEDを検証する
日本におけるAEDの使用実績
Effects of Public-access Automated External Defibrillators in Japan
北村 哲久
1
,
石見 拓
1
Tetsuhisa Kitamura
1
,
Taku Iwami
1
1京都大学保健管理センター
1Kyoto University Health Service
pp.1097-1102
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101572
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はじめに
心疾患による死亡は日本人の死因の第2位を占めている1).急性心筋梗塞による死亡の約1/2~2/3は病院外での死亡であると報告されるなど2),心疾患の死亡の多くは病院外での突然死である.日本における心疾患による病院外心停止は年間約5万人発生しており3),心疾患による死亡を減少させるためには,院外救急システムを充実させていくことが重要な課題である.
病院外心停止患者を救命するための条件を分かりやすく示したものが救命の連鎖(chain of survival)であり,迅速な通報,迅速な心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation;CPR),迅速な除細動,迅速な二次救命処置の4つの輪からなる4).これらのうち最初の3つは救急隊が到着する前に心停止現場に居合わせた人(バイスタンダー)によって迅速に実施されることが,病院外心停止患者の救命率の向上には重要である.特に迅速な除細動のためには市民によるAED(automated external defibrillator:自動体外式除細動器)の使用は極めて重要な鍵となる.
日本では2004年7月に市民によるAEDの使用が法的に認められて以降,AEDの普及が急速に進み,AEDの使用による救命例が相次いで報告されるようになってきている.本稿では,日本における病院外心停止の実態ならびに市民によるAEDの使用の実績について概説する.
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