Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
診療ガイドラインとは
診療ガイドライン(clinical practice guideline)とは,「医療者と患者が特定の臨床状況で適切な決断を下せるよう支援する目的で,体系的な方法に則って作成された文書」と定義される1).いわゆるガイドラインは古くからその分野の専門家が日常に行っている診療を記述した「診療の手引き」として存在していた.しかし,病院や大学,著名な専門家ごとに診療内容の基準が違うことも多々みられ,科学性,客観性に問題があることが指摘されていた.
一方,1990年頃より臨床試験データなどを重視するEBM(evidence based medicine:根拠に基づいた医療)が国際的に重視されるようになり,現在「エビデンスに基づいたガイドライン」が普及しつつある2,3).これは多数の患者を対象に,治療(投薬)群と非治療(投薬)群(プラセボ群)で比較し,治療効果(薬効)を確認する臨床試験の結果から得られるエビデンスに基づいて診療方法を勧告する方法であり,学会主導で作成されることが多い.特に米国においてエビデンスに基づく診療ガイドラインは国家的なプロジェクトとして発展してきた経緯がある.循環器領域ではアメリカ心臓学会(AHA,ACC)が多数の診療ガイドラインを公表している.わが国でも厚生労働省がEBMに基づくガイドラインの作成に研究費を助成するとともに,その普及のため,日本医療機能評価機構がWeb上で広報活動を支援している(医療情報サービス:Minds).現在,多くの学会が診療ガイドラインを作成して公表しているが,近年,専門医,一般医向けに加え,患者向けのガイドラインを作成する学会も出始めている.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.