Japanese
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綜説
胸部大動脈瘤に対するステントグラフト治療
Stent Grafting for Thoracic Aortic Aneurysm
吉川 公彦
1
,
阪口 昇二
1
,
東浦 渉
1
,
伊藤 博文
1
,
市橋 成夫
1
Kimihiko Kichikawa
1
,
Shoji Sakaguchi
1
,
Wataru Higashiura
1
,
Hirofumi Itoh
1
,
Shigeo Ichihashi
1
1奈良県立医科大学放射線科
1Department of Radiology, Nara Medical University
pp.1043-1047
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101350
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はじめに
大動脈瘤に対するステントグラフト治療は1990年代前半から臨床応用が始まった比較的新しい治療法であり,従来の開腹あるいは開胸による人工血管置換術に代わる低侵襲治療として,急速に進歩・普及し,初期ならびに遠隔期においてもその有用性が多数報告されている.
本邦では企業製ステントグラフトの認可は腹部が先行し,2009年現在3種類のステントグラフトが使用され,年間約3,000例の腹部大動脈瘤がステントグラフトで治療されている.一方,手術侵襲が大きい胸部大動脈瘤に対しては,1990年代から国内の各施設でZステントを骨格とした手作りのステントグラフトが作成・使用され,その症例数と治療成績は世界的にも注目を浴びてきた.そんななか,ようやく2008年にTAG(Gore社製,USA)1,2)が,2009年にTalent(Medtronic社製,USA)3)が認可され,本邦でも胸部大動脈瘤に対する本格的なステントグラフトの時代が到来した.
本稿では胸部大動脈瘤に対するステントグラフト留置術の適応と実際について,本邦で正式に使用可能なデバイスを中心に概説する.
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