巻頭言
心房細動治療―最近の考え方
青沼 和隆
1
1筑波大学大学院循環器内科
pp.769
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101312
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心房細動は加齢とともに増加し,わが国においても70歳代では2~4%にのぼる最も罹患頻度の高い不整脈であり,本邦における現時点での罹患人口は70~120万人程度である.今後日本が超高齢者社会を迎え,生活習慣病が増加することを考えると心房細動の罹患はますます増加するものと考えられる.
心房細動において,生命予後を左右する重要な問題として血栓塞栓症の発症が挙げられるが,心房細動に起因した脳血栓塞栓症は梗塞の範囲が広く,単に生命予後だけでなく快適な社会的生活を奪い去ることからも十分な治療を考慮する必要がある.現在ではCHADS2スコアにより血栓塞栓のリスクを勘案して治療に臨むことが推奨されているが,ここで注目すべきは高血圧や糖尿病など生活習慣病とも呼ぶべき患者背景により血栓塞栓の発症のリスクが大きく変化することであり,このことからも今後ますます心房細動治療の重要性が高まっているのである.
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