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特集 ARBの選び方・使い方
心臓障害を伴う高血圧患者に対して
Usefulness of ARB for Cardiovascular Diseases Associated with Hypertension
岡 亨
1
,
高野 博之
1
Toru Oka
1
,
Hiroyuki Takano
1
1千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学
1Department of Cardiovascular Science and Medicine, Chiba University Graduate School of Medicine
pp.457-466
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101255
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はじめに
心臓の障害とは,心臓に高血圧などによる過剰な血行力学的負荷やレニン・アンジオテンシン系(RAS)に代表される液性因子などによる種々のストレス,冠動脈硬化による心筋酸素供給量減少に伴う心筋虚血などが複合的,持続的に加わり,病的心肥大や心筋リモデリングが惹起されている状態である.このような状態は心不全への前段階または進行段階であり,心筋梗塞や致死性不整脈,突然死などの心血管イベント発症の危険性が増大した状態である.心血管疾患を有する高血圧患者に対し,血圧を十分に下げることが第一の治療目標であるが,肥大抑制作用を有するといわれるRAS抑制薬を用いることによって臓器保護効果ももたらされると考えられる.
残念ながら,わが国のARBに関する大規模臨床試験の成績はまだ限られており,ARB同士を直接比較した成績も乏しいことから,どのARBをどのような心血管疾患に対してどのように使っていくかというテーマに明確な答えが出せる段階にはない.そこで本稿では,国内外のARBを用いた大規模臨床試験の成績を紹介し,ARBの特徴について述べてみたい.
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