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はじめに
脳卒中は脳梗塞,脳出血,およびクモ膜下出血の各病型に分けられ,それぞれ約7割,2割,1割を占める.脳卒中の治療は1990年代以降,ストロークユニットを用いたチーム医療やrt-PA血栓溶解療法などに代表されるように目覚しい発展を遂げてきた.しかし,依然として一度発症すると後遺症によりADLが障害され易く,わが国の寝たきり原因の約4割を占め,死因の第3位であることから,発症予防が極めて重要であることには変わりない.近年,わが国は高齢化社会に突入し,生活習慣の欧米化によりメタボリックシンドロームが著しく増加している.今後ますます高血圧,糖尿病,脂質異常など基礎疾患に喫煙,飲酒などの生活習慣を含めた危険因子管理の重要性が高まると思われる.なかでも高血圧は脳卒中の発症や予後に関与する最重要危険因子であり,脳出血ではもちろんであるが,脳梗塞発症においても強い正相関を示す(図1)1).2001年に発表されたPROGRESSではACE阻害薬ペリンドプリル単独もしくは利尿薬インダパミドとの併用による降圧療法の再発予防における有用性が6,000例以上を対象に検討され,降圧療法の脳卒中再発予防効果がはじめて確認された.また,同研究では明らかなJ-curve現象は認められず,脳卒中再発予防に関する降圧効果は血圧を下げれば下げるほど強くなるという“The lower,The better”が示された2).近年では,ARBをはじめとするRAS(レニンアンジオテンシン系)阻害薬が脳卒中発症や再発予防に有用であることを示すデータが集積されつつあることから,本稿ではARBを中心に脳血管障害を伴う患者における高血圧の管理について述べる.
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