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綜説
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版をめぐって―心血管イベント制御のためのLDL-C低下療法
Review of Japan Atherosclerosis Society(JAS) Guidelines for Prevention of Atherosclerotic Cardiovascular Diseases
比企 誠
1
,
大村 寛敏
1
,
代田 浩之
1
Makoto Hiki
1
,
Hirotoshi Ohmura
1
,
Hiroyuki Daida
1
1順天堂大学医学部循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, School of Medicine, Juntendo University
pp.827-832
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101092
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はじめに
従来,日本人は冠動脈疾患(coronary artery disease;CAD)の発症や死亡が欧米と比較して少ない民族とされてきた.しかし,欧米と同様,わが国においてもLDL-コレステロール(LDL-C)値の上昇とともにCADの相対リスクが連続的に増加することが確認されており,近年の生活習慣の欧米化に伴うLDL-C値の増加および耐糖能異常やメタボリックシンドロームなどの代謝性疾患の増加によって,今後わが国でもCADの発症率・死亡率が増加してくる可能性が指摘されている.事実,最近の日本人の死因統計をみると,心疾患16%,脳血管障害12%であり,両者を併せた動脈硬化性疾患による死亡は,第1位である悪性新生物の約30%にほぼ匹敵する.わが国の特徴として脳卒中の発症率および死亡率が欧米に比較して高率で,脳卒中の主体をなすアテローム硬化性脳梗塞を予防する観点からも,LDL-C値の管理が重要である.
本稿では,『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年度版』に準じた心血管イベント制御のためのLDL-C低下療法を,代表的な大規模臨床試験におけるエビデンスに言及しながら概説する.
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