Japanese
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特集 心房細動における脳卒中の発症予防
心原性脳梗塞の二次予防
Secondary Prevention of Cardioembolic Stroke
中村 智実
1
,
内山 真一郎
1
Tomomi Nakamura
1
,
Shinichiro Uchiyama
1
1東京女子医科大学神経内科学
1Department of Neurology, Tokyo Women's Medical University
pp.801-808
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101088
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はじめに
心房細動は心原性脳塞栓症の危険因子である.従来は心房細動の基礎疾患としてリウマチ性心疾患や僧帽弁疾患が多かったが,最近では,これらの基礎疾患がない非弁膜症性心房細動(nonvalvular atrial fibrillation;NVAF)の占める割合が増加している.NVAF患者の脳梗塞発症率は平均5%/年であり,これは心房細動のない人々より2~7倍高い1~3).また,2000年度厚生科学研究費による脳梗塞急性期医療の実態に関する研究によれば,発症後7日以内に入院した脳梗塞患者の20.8%に心房細動を合併していた4).
心原性脳塞栓症は,心腔内で形成された大きなフィブリン栓子が脳の主幹動脈を閉塞させるために大梗塞になりやすく,他の脳梗塞よりも予後不良の傾向が強い.脳梗塞患者の死亡例では,高齢者の心原性脳塞栓症がその大半を占める.また,一度,心原性脳塞栓症を発症してしまうと,再発し,さらに重症化する可能性が高いので,一次予防とともに再発予防も極めて重要である.
本稿では,心原性脳梗塞患者における二次(再発)予防を急性期と慢性期に分けて述べ,また新しい抗凝固薬についても解説する.
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