Japanese
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Current Opinion
薬剤性肺障害―抗癌剤による間質性肺炎
Drug-induced Pulmonary Damage: Interstitial lung disease due to anti-neoplastic agents
滝澤 始
1
Hajime Takizawa
1
1帝京大学医学部附属溝口病院第四内科
1Department of Internal Medicine, Teikyo University School of Medicine, Mizonokuchi Hospital
pp.79-83
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100964
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薬剤性肺障害をめぐる最近の動向
今,薬剤性肺障害が注目されている.それはなぜであろうか?いうまでもなく,2002年の発売後まもなく抗癌剤ゲフィチニブによる間質性肺炎が高頻度に発生し死亡例が相次いだことが発端である.これを契機として薬剤有害情報のなかでもとりわけ間質性肺炎を中心とする薬剤性肺障害が注目を集めるようになり,その報告が急増したのである.以前は疑うことはできても診断が難しく,ほとんどが症例報告どまりであり,また経験した医師も多くは呼吸器専門医ではないために詳細な病態の解析が行われないのが一般であった.2002年10月15日に発表されたゲフィチニブ(イレッサ(R))の肺障害に関する緊急安全情報は,その意味でも画期的であり,間質性肺炎が4.5~5%発生し,全体の死亡が2%(間質性肺炎症例中30~40%という高さ!)という事実に臨床医は驚愕した.
医薬品医療機器総合機構への副作用報告のうち,薬物有害反応(adverse drug reaction;ADR)の報告は年間約25,000件,そのうち“肺障害”が約2,000件(6~7%)であるが,特に2000年以降急増している.さらにその後に発売された抗リウマチ薬のレフルノミドによる急性肺障害による死亡例の発生と製薬メーカーの対応の鈍さが追い討ちをかけた形となって,わが国独自の薬剤性肺障害の実態調査とその防止のためのガイドラインが作成された.
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