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綜説
非持続性心室頻拍の治療―植込み型除細動器(ICD)を考慮すべき症例は?
Therapy for Non-sustained Ventricular Tachycardia:Indication for ICD Implantation
土谷 健
1
Takeshi Tsuchiya
1
1博愛会病院
1Hakuaikai Hospital
pp.917-922
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100719
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非持続性心室頻拍(NSVT)の発生頻度は全体で0~4%とされる1~4).この不整脈は,基礎心疾患や左室機能障害の程度により生命予後に対する意義が変わるため,臨床現場においては比較的治療方針の立てにくい不整脈のひとつである.
基礎心疾患ごとのNSVTと生命予後
NSVTは器質的心疾患がない例では予後に関係しないとされる5~7).また,加齢につれて運動負荷試験時のNSVTの発生率が高まることが知られているが,心筋虚血が認められなければ予後には関係しない8,9).さらに,虚血性心疾患を有しているものの左心機能が保たれている例でのNSVTの発生率は5%前後とされるが,このような例でもNSVTは生命予後に影響しないとされている10).したがって,これらの例では,強い自覚症状がない場合にはNSVTに対する抗不整脈薬療法は必ずしも必要ではないと思われる.また,弁膜症,拡張型および肥大型心筋症,高血圧性心臓病においてはNSVTが独立した突然死の予測因子であるか否かの結論は出ていない11~18).したがって,これらの例では動悸などの強い自覚症状がない限りはNSVTに対する抗不整脈薬療法は慎重であるべきで,もっぱら心不全などの基礎心疾患の治療を行うことで,いわゆるup-stream治療を行うほうがよいと思われる.
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