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特集 肺高血圧症の最近の治療
肺性心に対する治療
Therapy for Cor Pulmonale
巽 浩一郎
1
Koichiro Tatsumi
1
1千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学
1Department of Respirology, Graduate School of Medicine, Chiba University
pp.887-894
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100714
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はじめに
肺性心は,肺の構造と機能に影響を与える疾患の結果生じた右室の肥大である1).本号の特集である肺高血圧症の治療という観点から考えると,肺性心の治療は二次的なものになる.一次的な疾患である肺高血圧症の治療が開発されて,肺高血圧症の程度が改善されれば,結果として二次的な肺性心の治療にもなる.
本号の特集で記載されている,肺高血圧症に対するプロスタサイクリン療法,シルデナフィル療法,ボセンタン療法,肺移植手術,慢性肺血栓塞栓症に対する血栓内膜摘除術,これらはすべて肺性心の治療になる.
肺高血圧症において,肥大した右室心筋を一次的に治療するという考えは現在までのところはなく,肺血管に対する治療を通して右室の機能を保つための治療をするのが原則と考えられる.しかし,今後は適応現象としての生理的な右室肥大と,拡張不全・収縮不全を伴う代償機構不全としての右室肥大を区別して認識して,病的な右室肥大の治療も探る必要性があると考える.
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