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呼吸器感染症をめぐる最近の話題
呼吸器感染症は上気道,下気道,肺実質および胸膜腔を感染部位とする疾患群の総称であり,その病態は複雑である.また,呼吸器感染症の原因微生物も多彩であり,そのなかには新興再興感染症も含まれている.例えば,東アジアを中心に現在流行している「重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe acute respiratory syndrome)」は新種のコロナウイルスが原因であると指摘されている.また,肺炎はわが国での死亡原因の第4位に位置し,1980年以降社会の高齢化に伴いその死亡率は増加している.このような状況で呼吸器感染症の診断,治療,管理について関心が高くなっており,2003年日本呼吸器学会総会では総演題数の17%が呼吸器感染症に関する演題となっている.
近年,多くの疾患でガイドラインが作成されているが,呼吸器感染症領域も例外ではない.アメリカ胸部学会(ATS)が1993年に「成人市中肺炎の初期治療のためのガイドライン」を発表して以降,種々のガイドラインが作成されている.わが国でも2000年3月に日本呼吸器学会「成人市中肺炎診療の基本的考え方」1),2001年10月に日本感染症学会/日本化学療法学会「抗菌薬使用の手引き」2),2002年3月に日本呼吸器学会「成人院内肺炎診療の基本的考え方」3),2003年2月に真菌症フォーラム「深在性真菌症の診断・治療ガイドライン」4),2003年6月に日本呼吸器学会「成人気道感染症診療の基本的考え方」5)が発表されている.これらのガイドラインは医療の標準化,医療費の適正化,耐性菌感染症の防止などを目的としており,今後その妥当性を再評価し,改訂することを基本姿勢としている.
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