Japanese
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綜説
外傷事故と心血管損傷
Trauma and Cardiovascular Injury
吉田 徹
1
,
西巻 博
2
,
今井 寛
1
,
相馬 一亥
1
Toru Yoshida
1
,
Hiroshi Nishimaki
2
,
Hiroshi Imai
1
,
Kazui Soma
1
1北里大学医学部救命救急医学
2北里大学医学部放射線科学
1Department of Emergency and Critical Care Medicine, Kitasato University School of Medicine
2Department of Radiology, Kitasato University School of Medicine
pp.731-738
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100422
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はじめに
外傷においては,その受傷機転により種々の部位,臓器に障害が生じる.臓器損傷の種類と程度,そしてその後の合併症により外傷の重症度は変化するが,たとえ末梢四肢の受傷であっても動脈損傷などにより大量出血などを来せば致命的となることもあり,部位・臓器だけで一概に重症度を決定することはできない.しかし,胸部にはvital organである心臓・肺および大血管があり,これらの臓器損傷は生命予後に直結する可能性が高い.
胸部損傷は大きく分けると心血管系の損傷と肺・呼吸器系の損傷がある.肺・呼吸器系の損傷は他の成書に譲るが,肺実質の損傷だけでなく,気胸・血胸,フレイル・チェストなど胸壁や胸腔の損傷と併せて多彩な病像を呈する.緊張性気胸などのように物理的圧迫などから循環系への影響を無視できないものも存在する.心血管への直接損傷は循環系の根幹部に関わるため生命予後に直結することが多い.
本稿においては,救急に携わる循環器内科医の立場から外傷事故のうち胸部,とりわけ心臓と胸部大動脈に対する直接損傷に的を絞り,論じていきたい.
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