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はじめに
本邦でのCPA患者の蘇生率の向上,特に社会復帰目的に米国のパラメディックに匹敵する救急救命士制度が導入されたが,経緯は1991年4月23日に救急救命士法が公布され,わが国に制度として発足したものである.そして1992年7月1日より活動が開始され運用後6年目を迎える.救急救命士は医師の指示のもとで心肺停止(CPA,Cardiopulmonary arrest)患者について3点セットと称される静脈確保,除細動,気道確保としてラリンゲルマスク,食道閉鎖式チューブ,コンビチューブなどが実施できる.これらの3点セットは本邦でのCPA患者の救命率が欧米諸国に比較してきわめて低いことから導入されたものである.現在東京都では各消防署に1名以上の救急救命士が誕生しているが,その他の地域では未だ不十分であり,行政の足並みが揃っていない現状である.当初は期待されたほどの成果は報告されなかったが,現在救急救命士による特定行為によって社会復帰症例が報告されてきている1,2).
本稿ではCPA患者の実態とその後の経過について述べるが,CPAに関する用語の定義が一定していないために,国際的な比較のみならず日本国内での施設間の治療成績の比較が困難となっている現状がある.従来本邦では院外心肺停止に関する研究は主として医療機関に搬送されてきた来院時心肺停止(慣習的なDDA)に関する検討によって代用されてきた.CPA患者の予後,そしてその後を述べるにあたっては,まず用語の整理がきわめて重要である.そこで用語に関して日本救急医学会救命救急法検討委員会3),およびプレホスピタルCPA症例の記録統一への国際的試みである「Utstein Style」の概略4)を述べたい.
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