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特集 強心薬のコントロバーシ-急性心不全に使うべきか,避けるべきか
理想的な強心薬とは
Defining an Ideal Inotrope
百村 伸一
1
Shinichi Momomura
1
1虎の門病院循環器センター内科
1Department of Cardiology, Cardiovascular Center, Toranomon Hospital
pp.879-884
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100354
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理想的な強心薬とは
現在,左室収縮機能不全を伴う急性心不全,あるいは左室収縮機能不全に基づく慢性心不全の急性増悪の際には,重症例では利尿薬やh-ANPと並んで強心薬が点滴静注で用いられることが多い.このような強心薬の分類としてはカテコールアミン,フォスフォジエステラーゼ阻害薬,アデニル酸シクラーゼ活性増強薬,カルシウム感受性増強薬などがある.確かに強心薬を用いると他のカテゴリーの薬剤,例えば利尿薬や血管拡張薬などとは比較にならないほどの血行動態の改善が得られる.しかし,そのことが例えば患者の予後を良くするか,あるいは入院日数を短縮するかというと必ずしもそうではないし,頻脈や不整脈などの副作用を持つものも多く,何らかの欠点を有しない強心薬は存在しない.
本稿では,そのような現実を踏まえて理想的な強心薬とはどんなものか,また現実に用いうる強心薬にはどのようなものがあって,それが理想的強心薬とどのように異なっているのかを明らかにしたい.
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