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特集 非結核性抗酸菌症の病態と治療
非結核性抗酸菌症の機序―肺の破壊性病変進行の機序
Pathogenesis of Non-tuberculous Mycobacteria:mechanism of the process of lung destruction
藤田 次郎
1
Jiro Fujita
1
1香川大学医学部第一内科
1First Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Kagawa University
pp.583-587
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100311
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はじめに
近年,呼吸器疾患の臨床現場において非結核性抗酸菌症(特にMycobacterium avium complex,以下MAC症)の重要性が高まりつつある.本稿では非結核性抗酸菌症(特にMAC症)の肺病変の破壊性病変進行の機序について概説したい.ただし留意しておくべきことは,MACによる肉芽腫形成は,MACの病原性と深く関連するのみならず,生体の防御反応を反映している現象であるとも位置づけることのできる点である.すなわち,MACの病原性のみではなく宿主のMACに対する反応の両面を考慮する必要がある.また,肉芽腫形成にかかわるサイトカインネットワークについては膨大な基礎研究がなされているものの1),本稿ではあえて画像所見と病理所見との対比など,臨床的観点に立った記載を中心としたことについて了解願いたい.
なお,肺MAC症の病型として,①fibrocavitary disease,②fibronodular disease1),および③hypersensitivity diseaseの3つの型があることも留意しておくべき点と考える.③は稀であるので,①および②の病型について記載する.①の病型においては空洞形成が,②の病型においては気管支拡張が肺の破壊性病変であるので,主としてこの両者の機序について概説する.
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