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Current Opinion
急性心筋梗塞―冠動脈インターベンション(PCI)後の抗血栓療法―臨床試験の成績と最近の動向
Antithrombotic Therapy after PCI in Acute Coronary Syndrome:results of clinical trials and trends
福澤 茂
1
Shigeru Fukuzawa
1
1船橋市立医療センター循環器科
1Division of Cardiology, Funabashi Municipal Medical Center
pp.419-425
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100291
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急性心筋梗塞―PCI後の抗血栓療法をめぐる最近の話題
1 はじめに
本邦においても,高齢化社会の到来,食生活の欧米化などとともに虚血性心疾患(狭心症,不安定狭心症,急性心筋梗塞)が増加してきている.急性心筋梗塞は,冠動脈硬化における器質的なプラークによる冠動脈狭窄を基盤として発症し,プラークの破裂を引き金として血栓形成が生じることにより,心筋虚血が起こり心筋壊死に至る.血栓が形成される際に,プラーク破裂部位に付着する血栓量により,冠動脈内腔の完全閉塞(急性心筋梗塞)と不完全閉塞(不安定狭心症)が生じるが,その病態としては臨床上同等とされ,急性冠症候群(ACS)と総称されてきている.この冠動脈硬化を基盤とする血栓形成の発症に血小板は中心的役割を演じている.
近年,冠動脈インターベンション(PCI)領域における治療技術の発展は目覚しく,急性心筋梗塞や不安定狭心症などのACSにおいても,血栓に閉塞された冠動脈を迅速に再開通させる再潅流療法が確立され,虚血心筋の救済,予後改善に有効である.そして,ACSにおけるPCIに際して抗血小板剤を併用することにより治療成績が有意に向上することが明らかにされてきている.
本稿では,急性心筋梗塞において,一次予防,冠動脈インターベンション時,およびその後の二次予防に対する抗血小板療法の役割,選択について概説する.
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