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特集 不整脈非薬物療法の現況と5年後の展望
徐脈性不整脈に対する遺伝子治療あるいは再生医療の実現に向けて
The Application of a Gene Therapy or Reproduction Medicine to Treat the Bradyarrhythmia
佐藤 俊明
1
,
三好 俊一郎
1
Toshiaki Sato
1
,
Shunichiro Miyoshi
1
1慶應義塾大学医学部循環器内科
1Department of Cardiology, Keio University School of Medicine
pp.51-56
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100220
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心臓ペースメーカーの開発は20世紀前半より始まった.当初は心肺停止時,体外においたペースメーカー本体から皮膚に貼った電極を介して心臓を電気的に刺激していた.1950年代には経静脈的に右室心内膜面に留置するリード電極や開胸手術中に留置する心外膜リード,植込み型のペースメーカーが相次いで開発され,以後恒久型心臓ペースメーカーは徐脈性不整脈治療の主流をなすようになった.一方で,植込み手術に伴う合併症や,リード断線,電池交換など機械式ペースメーカーに関連する諸問題があるのも事実である.
1990年代後半,心筋梗塞巣に胎児培養心筋細胞を移植することによって心機能は改善することが示され,心筋細胞移植が重症心不全の治療に有効である可能性が示された1).同様に再生心筋細胞移植は徐脈性不整脈治療に有効である可能性がある.現在,機械式ペースメーカーに代わる生物学的ペースメーカーの開発が模索されている.心筋細胞,特にペースメーカー細胞の再生と,その移植法を中心に研究が進められている.ペースメーカー細胞の再生には遺伝子移植やEmbryonic Stem cell(ES細胞)あるいは骨髄細胞からの分化誘導という方法がある.また,自動能を有していなくても電気的興奮を伝播できる再生心筋組織は,房室ブロックに伴う徐脈性不整脈の治療に有効である可能性がある.
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