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心電図同期マルチスライスCT
CT(コンピュータ断層法)は従来まで人体の輪切り画像という印象があるが,1回の撮影で複数の画像を得ることができるマルチスライスCT(MSCT)の登場で劇的な変化が訪れた.データ撮影装置は当初4列から8,16,32,64列と年々倍に増えることで,より薄くより高速に撮影することが可能となった.現時点で最高機種の64列MSCTを例にとると,従来のシングルヘリカルCTより速さのみを追求すれば64倍のスピード,薄さのみを追求すれば1/64の精度の高い画像が得られる.実際にはスライス厚の下限は画質との兼ね合いより0.5mm程度であるため,薄さと速さ,両者のメリットを組み合わせた撮影が可能となる.スライス幅が1mm以下となると体軸方向の空間分解能が軸位横断面とほぼ等しくなり,軸位横断面のみならず,精度の高い冠状断,矢状断を得ることができるようになり,立体画像による三次元診断が可能となった.
さらに臓器別では,心臓,大動脈は拍動する特殊な臓器であり,優れた時間分解能と心電図同期撮影が必要となる.従来までは電子銃を用いた電子ビームCTのみが心電図同期撮影が可能であった.電子ビームCTは機械的回転部分がないため50~100msecの時間分解能を持つ.現在のMSCTは心電図を記録しながらある特定の心位相のみのデータを収集する心電図同期スキャンと,全ての心位相のデータを収集し撮影後任意の心位相のデータを再構成する心電図同期再構成法が可能である.後者では再構成する際,複数の検出列よりデータを少しずつ使用することで1回転0.33~0.5秒かかる時間分解能を100msec程度まで改善することもできる1).
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